あいあいあい
きゅう、と、それは突然。
私の手を握る庄ちゃんの手は、指先は、心なし熱く感じた。
ふるふると震えているけれど、泣きたいのか、笑いたいのか、俯いているからわからない。実際、どちらでもあって、どちらでもないのかもしれない。
「庄ちゃん」と囁くように言うと、本当に小さく小さく「すきすぎて」と声がした。
「本当に、好きで、いとしくて、恋しくて、恐怖のような感情さえあります。どうすればいいのか、何もわからなくなります。僕は今からしんでしまうんじゃないか、と。それくらい、愛しています。どうすればいいでしょう。先輩なら、わかりますか。」
そんな言葉を紡がれて、ひとつかふたつ時が過ぎてから私の頬はかかかと赤くなる。
余裕を取り戻すようにふうと溜息をついて、やんわりと可愛い後輩を抱きしめたら、庄ちゃんは間髪いれずに抱き返してきたので「ああもうこのこは」と目をつむった。
「なかなか難しい問いだ。どうすればいいのか、考えてごらんよ」
「……めおとになってください」
「あれ大幅に上をいった」
くすくすと笑いあって、そっと体を放す。
じいと見つめながら、今このこは私をどれだけ愛しく思っているのだろうか、今このこの鼓動はどれだけはやく鳴り響いているのだろうか、そう考えてみると、更に更に照れくさくなって、それを隠すように。
「私もね、好きだよ」
まだほのかに赤らんだ顔で、困ったように微笑んでみると、庄ちゃんもにこりと笑って。
「死んでしまうかも」
「はは、……あ」
そこで、そうだお茶をしていたのだったと思い出して、隅っこに放置されていた菓子に手をのばした。
「死人は饅頭はいらないかね」
「いります。」
「だろうな」
なんだかいつもより甘い気がするなあと咀嚼していたら、ち、という音と共にいきなり頬に柔らかいものを押しつけられて、心の中でぎゃあと叫びをあげた。
私がいつ死んでしまうか不安だ!
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