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2024/09/29 09:14 |
はい、自慢の先輩です!【庄鉢庄】
庄ちゃんと鉢屋が好きすぎてもう何が何だか…
立花先輩が出張っているのは私が好きだからです。
かっこいい先輩だと思っています。誓って嘘じゃないです。はい。



拍手[8回]


おやつ委員会と揶揄されるように、学級委員長委員会はお茶をすることが多い。
学園長先生が手配して下さるお菓子は美味しいし、お茶を点てるのも楽しい。
彦四郎と一緒に予習をしたりもする(大抵先輩方に邪魔されるけど)。
庵の障子を開け放つと暖かな日差しがあり、お昼寝するには絶好の場所だ。
不意に意識が浮上して、自分が寝ていたことに気付くことがある。まさに今。
横を見ると、鉢屋先輩が寝ていた。
(……僕の前で寝てしまっても良いんですか)
誰も貴方の本当の顔を知らないのに。
本当は起きておられるんだろうか。そっと腕をついて上半身を起こし、まじまじと顔を見る。面のはずなのに継ぎ目は全く分からない。
(…きれいだ)
外見ではない。僕はこの人の声が、眼差しが、優しい掌が、そして何よりその心が大好きだ。
不敵に笑うこの人を僕は格好良いと思うし、甘やかしてもらえるのはくすぐったいけど嬉しい。
「何だ、鉢屋は寝ているのか。珍しい」
「立花仙蔵先輩」
なぁ黒木。作法委員会の委員長は僕の名前を呼んで妖艶に笑う。
「化けの皮を剥いでみたいとは思わないのか」
彼は片眉をあげてみせた。
「どうしてですか?僕は、」
目を丸くして驚くと、後ろから伸びてきた腕が僕の肩に置かれた。
「私の後輩を苛めないでいただけますかね」
からかうような口調。
「話しているだけで苛め扱いされてはかなわんな」
立花先輩は睨まれているのにむしろ楽しそうに見える。
再び間近に鉢屋先輩の顔があった。不破先輩のそれであっても、表情はこの人のものだ。口調とは裏腹に鉢屋先輩のぎらぎら光る瞳があまりに不安そうで、僕は手を伸ばした。
「……庄ちゃん?」
瞳は僕を映した。頬に触れる。
応えて欲しい訳じゃない。でも、信じて欲しい。
「…大丈夫です。大丈夫」
この人の素顔に興味がないと言ったら嘘になる。僕はこの人の全部が欲しくて、とても知りたいから。でもそれは素顔だけでは、なくて。
(僕はあなたを裏切らない。だから泣かないで)
鉢屋先輩はかぁっと耳を赤くした。ああ、通じたらしい。天才だというのにこの人は気持ちに関してだけ極端に疎いから、本当に珍しい。
「立花先輩。僕の先輩を苛めないで下さい」
六年生を見上げ、顎を引いて申し立てる。
庄左、と鉢屋先輩が声を上げるのと立花先輩が吹き出すのはほぼ同時だった。
「似た者同士だな、お前達は!」
「…そうでしょう。私の自慢の後輩です」
鉢屋先輩は僕の腰に手を回して抱きついた。
僕は背筋を伸ばす。

はい、自慢の先輩です!

(怖いもの無しなところも一年の頃の鉢屋そっくりだな!)
(何でそういうこと言うかなこの人は…)
(…当然なんですけど、なんだか悔しいです。僕より立花先輩の方がお詳しいの)


 

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2011/06/03 22:27 | RKRN(小噺)

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