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2024/09/29 11:23 |
うそ ほんと【鉢+仙】
新入生鉢屋と、二年の立花先輩のおはなし。

天才と天才って素敵だと思うのです。仙鉢も鉢仙も好きですが、今回はCPなしで。
これが原因で立花先輩に遊ばれることになる…のかも知れない。

ほんのり関係あり はい、自慢の先輩です!(庄鉢庄)





拍手[4回]







優秀だとか天才だとか、そう騒がれるのはこの一年間自分だったから、純粋に興味があった。
一つ下に入った、天才。鉢屋三郎。
教師たちの話や噂から知ったところによると、変装の術は既に上級生顔負けであるという。
「ろ組ねぇ」
優秀だというならい組に居ても良さそうなものだが。
(……まあ組など関係ないな)
組の違いがそのまま能力の差に繋がらないことを、仙蔵は知っている。
「鉢屋は居るか」
ざわついていた一年ろ組の教室は二年生が来たことで静まりかえった。
「今、三郎って居る?」
ちょっとした間があって、たっぷりとした茶色の髪を結わえた少年が教室内に呼び掛けた。
分からない、どうだろう、返事がないから居ないんじゃないか。ぽつぽつと声があがり、少年は頷く。
「居ないみたいです、先輩」
確か長次のところの後輩だ。図書委員会に早速一年生が入ったと長次が随分と喜んでいたので覚えている。
その鉢屋とやらが、見目麗しく優秀であるなら作法に誘わなければならない。……というのは口実で、仙蔵だって後輩が欲しかった。
直ぐ下の後輩は可愛いに決まっている。まだ長いこれからの学園生活の中で後輩が居るのは楽しいだろう。
「そうか」
「何か御用でしたか?」
少し下にある首が傾げられた。優しそうなおっとりした子だ。
「なに、大した用じゃない。また来るさ」
仙蔵が鷹揚に答えればはい、と頷いた。
図書委員の後輩のお蔭で気分良く教室を出た。長次に一言言うついでに本でも借りようか。そう考えて足を図書室に向ける。
(いつ行ったら会えるものか)
じっくり話せるときが良い。
図書室の戸を開け、中に入る。受付にはちょうど同級生が腰掛けていた。
「長次。お前の後輩だがよく気の付くよい子だな」
長次は静かに頷く。長次が話すことは滅多にない。
「確か不破といったか」
「はい」
振り返ったところに、不破がいた。たっぷりとした茶色の髪を結わえた少年は小さな腕に本を抱えて立っている。
「何でしょう、先輩」
一年ろ組の教室から図書室まで、最短距離で来たはずだ。一年生が仙蔵を追い抜けるはずがない。
同じ声。同じ顔。変装名人。
仙蔵は堪え切れずに吹き出した。
「ははは!なるほど!」
“本物”の不破雷蔵は首を傾げた。優しそうなおっとりした子。先程見たばかりの仕草と目の前のそれは酷似している。
(私が一杯食わされるなど!)
長次が静かに、という言葉にすまないと応えて外に出た。

うそ ほんと

(面白いじゃないか、鉢屋三郎!)


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2011/07/23 22:30 | RKRN(小噺)

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