ぬいぐるみをプレゼントする竹谷と貰ったぬいぐるみで埋もれる勘ちゃんって可愛いよねっていう話し。
傍目には竹勘に映る、そんな勘竹が好きです。左右コンビすてき!
心ばかりのお誕生日プレゼントでした。
「かん。やる」
青い袋に水色のリボンがかかっていた。シールはピンク、クマのマーク。
ハチの頬は赤い。ああ、きっとぬいぐるみだ。
「ありがと!」
ハチはぬいぐるみが好きだ。クマとかウサギとか、ふわふわしたものを見つけると俺に買って寄越す。可愛いぬいぐるみが好きなんだけど、持っているのが恥ずかしいらしい。木下先生が同じ要領でハチに渡してたみたいだから、きっとそれで覚えたんだな。
だから俺は喜んで受け取る。可愛いもの大好きだし。
「どこで買ったの?」
「動物園の。ほら、生物委員会で行った社会見学」
あー、と頷いて納得した。
「ハチについていこうと思ったら俺たちも見学になったやつかぁ」
学級委員長の集まりというやつで、まぁそれはそれで楽しかったけど。後輩たちは可愛いかったし。
「そう、だからお土産な」
男子学生がぬいぐるみを買う理由はお土産にするのが一番である。
勘ちゃん調べ、ちなみに俺(ぬいぐるみを貰う本人)は、居ない方が良い。
一緒に居て、たとえハチが自分の為に買うのだって、店員さんにカノジョさん用ですかと尋ねられるのはさすがの俺も傷付きます。妹でもないし。ピンクのラッピングも嫌いじゃないけどさ。
丸い耳が覗いた。
「あっかわいい」
引っ張り出すと、円らな黒い瞳が俺を映す。茶色いふさふさの毛並み。
……いや、でも、クマじゃないよねこれ。
「狸だぞ!」
「何で狸……」
「テンション低っ!ウーパールーパーが良かった!?」
「そのチョイス!?」
自分の選択を後悔した顔でごめん、と言う。そんな申し訳なさそうな顔するなよ、嬉しいんだから。
「そいつ見てたら勘のこと思い出したもんでさ、他のが良いよなやっぱり」
狸ってあだ名だし、あんまり褒め言葉じゃないし、ああでもお前が言うなら悪くないね。
「可愛いんだから困っちゃうよもう!」
狸のぬいぐるみごと抱きついた。水族館に行ったらウーパールーパーのぬいぐるみ買いたがるんだろうな、たぶん。
「ハチも一緒に頂戴よ」
ハチがじわじわと首まで赤くなった。
「俺は、いっつもやってるだろ!」
あぁもう、ほんとに可愛いんだから!
たくさんたくさん、笑っていよう。
(俺がきっと幸せにしてあげる!)
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