忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/07/01 18:43 |
あいまい、あまい?【学級で鉢庄】
現パロで、ドーナツを食べる学級委員長委員会のお話し。
鉢庄で、こっそり竹勘風味。


拍手[2回]



先輩方は甘いものがお好きだ。
尾浜先輩はエンゼルクリームを一口かじり、反対の手で書類をめくった。僕はホットカフェオレを口に含んで幸せに浸る。おいしい。
私立大川学園の校則のゆるさは有名で、そもそも寄り道に関する規定がない。
委員会の続きを喫茶店で行うというのも珍しいことではなかった。学級委員長委員会は、生徒会と別に各学級の学級委員長の有志が集まる委員会だ。実際に活動している人数は少ない。現在四人だと思う。確か。
「読めたか?」
鉢屋先輩が追加のドーナツを載せたトレイをテーブルに置いて尾浜先輩に尋ねる。
「問題なし。誤植もないしオッケー」
「当然だな」
お帰りなさい鉢屋先輩、と庄左ヱ門が声をかけながら尾浜先輩の隣でカフェオレを飲む。
ちゃっかり鉢屋先輩の正面に陣取っている。油断も隙もないというか、さすがというか。こいつの鉢屋先輩への執念たるや並々ならぬものがあった。
今回は最初から捕まえておくって決めてるんだ、と庄左ヱ門は笑っていた。鬼ごっこか何かしてるんだろうか。今回って、前回はいつだよ。思ったまま聞けていないのだけど。
「彦四郎も確認してね」
「はい。印を押しておきますか」
完成した書類には全員分の判子が要る。鉢屋先輩の作られた文書だし、尾浜先輩も確認されたし、間違いはあるまい。仕事をすれば速いのだ、この人たちは。なかなかして下さらないのが難点だけど。
「よろしく、彦にゃん」
「鉢屋先輩、にゃんはお止め下さいと何度申し上げたと……」
先輩方は楽しそうに彦にゃん可愛いじゃない!と声を上げた。この年になって彦にゃんって!
「せんぱい」
「ん?」
尾浜先輩と彦にゃん談義で盛り上がっていた鉢屋先輩は、庄左ヱ門の声に正面を向いた。
「あーん」
棒読みに近い声と一緒に、Dポップの小さな一粒が差し出される。鉢屋先輩はぱくんとくわえた。白い砂糖が唇につき、それをぺろりと舐め取る舌が赤い。
「ありふぁほ」
そもそも先輩と呼ばれるなら尾浜先輩もそうだし、あーんじゃないし、なんでお前はそう満足気なんだ。さっぱりわからない。
「……庄ちゃんのヤキモチおいしい」
嚥下した鉢屋先輩が首を傾げて、笑う。庄左ヱ門は真面目な顔のまま「それは何よりです」と応えた。
やっぱりヤキモチなのかよ。そもそも僕は彦にゃんじゃないし、僕の前でいちゃいちゃしないで欲しい。いつも。昨日だって。
「……尾浜先輩ぃいい」
「あーもーお前ら彦四郎泣かせるなよなー」
尾浜先輩の名前を呼ぶことでヘルプをすれば頭を撫でられた。うう、この二人と一緒に居て平気な尾浜先輩もどうかと思います、なんて。竹谷先輩と色んなカフェの常連さんなのは知ってますけど。仲良しなのも知ってますけど。
「彦四郎の許容量越えちゃいましたね」
誰の所為だと思っているのか、庄左ヱ門はおっとりと言う。
「わー反省するー勘の顔がにやけてなかったらー」
「俺は役得ですぅいちゃいちゃしてないですぅ」
そうこうしているうちに鉢屋先輩が庄左ヱ門にあーん、と自分のドーナツを差し出した。
こんなふうに好きな人となれたらな、なんて少しでも思った自分が腹立たしい!


あいまい、あまい?

(甘い嘘でも僕らはひとくち!) 


PR

2012/11/22 00:00 | RKRN(小噺)

<<2012・11月 | HOME | 終わりなんて見えなくていい。【成長黒木兄弟で庄鉢】>>
忍者ブログ[PR]