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2024/07/03 17:33 |
富松と迷子と甘い檻【迷子富】


三ろと甘い檻の話し。

 

お題交換にて「あみだDE作兵衛を愛する為の迷子の企画」、水さんと杠さんお二人と、ご一緒させて頂きました。
まさか3Pを引き当てるなんて一体誰が考えたでしょう……(震え声)
担当の御題は【迷子富】、「甘い檻」×「喧嘩」×「乱れる」でした。


 

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左門がとんできた。

頬骨に拳があたる嫌な音がして、目の前の長屋の戸が倒れる。左門が殴られて中庭まで吹っ飛ばされたらしいと分かった。なるほど、喧嘩だ。しかも作兵衛と。
どたばたと作兵衛は音を立てながら部屋から飛び出して行った。もちろん、左門が倒れ込んだこちら側には来るはずない。一瞥もくれ無かった。あれは相当怒っている。
困ったな、と三之助は思った。作兵衛と左門と三之助、三人で一部屋なのだ。どうして二人が喧嘩したのか分からないが、仲直りしてもらわなくては。

左門のところに言って頬の泥を拭ってやる。殴られたので腫れた頬と擦り傷が少々、酷い怪我はなさそうだ。
「何で喧嘩したの」
「作兵衛が。僕が作兵衛のことを好きなのは勘違いだ、と言った」
ああ、それは、怒るだろう。三之助の知る限り左門は忍耐強いし優しい奴だけれど、こと作兵衛に関しては執着している。喧嘩にもなろう。
「だから、勘違いではない、と言った。こんな勘違いはしないと。そしたら、殴られた」
作兵衛は喧嘩っぱやい。喧嘩も強い。
手を出しながら色々考えを巡らせては、富松作兵衛の思考は誰にもわからないところに着地する。今回も、きっとそうだ。
「仲直りしねーの?」
「……謝るようなことが、ない」
どうやら殴り返してはいないらしい。左門は自分がやったこと、言ったことに謝る要素はないと思っている。だから謝れない。たぶん、謝りたいのだろうけど。
「他に何か言った?」
「何も」
「ふーん。困ったね」
左門は俯いた。珍しい。左門はいつも前を見ている。振り返らない。
「作兵衛は。きっと、三之助が作兵衛のことを好きだというのも信じない。三之助は、それでも構わないのか」
俺は、どうだろう。
腹が立つだろうか。そこまで立たない気がする。現に、左門から聞かされた今も腹は立っていない。
作兵衛が離れていく?
ああ、でも、それは、いやだな。
「俺は左門と作兵衛と一緒にいるのが、一番良いな」
左門はお腹が空いたときのような、不思議な顔をした。泣きたいのかな、と何となく思った。


神崎左門は小柄である。
下級生だから忍術学園の中で小さいのは仕方のないことだし、そのうち大きくなることを左門は知っている。しかしながら、喧嘩には不利な体格だった。今回のはやり返す気のない喧嘩であったけども。
(僕が作兵衛より小柄だからだろうか)
だから作兵衛は信じられないのか。好きの気持ちも届かないのか。
三之助は事情を聴いてから作ちゃんを捜してくるよ、とどこかに行ってしまった。部屋に独りぼっちで残される。
動く気が起きない。委員会の無い日で良かった。
僕もお前も、作兵衛が居なくてはきちんと戻って来れないのに。三之助の無自覚迷子め。


用具倉庫の外れ、大木の下。眩しいほどだった陽だまりに影が差す。
「お、居た居た。やっほー作ちゃん」
三之助の足元でかさりと草が鳴った。
「誤解を解きに参りました」
朗々と三之助の声が響く。何を言う、と思ったがすぐに左門のことだろうと知れた。
「誤解ってなんだよ」
三之助はひょいと俺の目の前に屈んだ。光が眩しくて見えなかった顔が見える。いつも通り、何も変わらない。
「作ちゃんはさ、左門の好きを信じられないんでしょ。左門と俺が作ちゃんのこと好きなの、犬が懐いてるのと同じもんだと思ってるでしょ」
同室の迷子の一人は、垂れ目を細めながらそう言った。きらきら。きらきら。
そうだ。その通りだ。作兵衛が好きだ、と俺に笑う左門の笑顔は、毒だ。俺とは違う。俺の好きは、違う。
「ちげーのかよ」
「まあ違わないけど」
次屋三之助は嘘を吐かない。
一年生の頃からかたくなに、お世辞も言えないこいつはそれはもう風当たりが強いはずだった。体育委員会に入ってから、ますます顕著だ。あの委員会の人たちも、基本的にはどの先輩方も、俺たちに嘘は吐かない。
「違わないのかよ!」
「でも、こういうことをしたい好きです」
ち、と軽快な音と共に額に唇が当てられた。外を歩き回ったせいか、ほんのり冷たい。
「ばっ」
顔を離すのと同時、子犬宜しくふにゃんと笑うから、言い返す勢いが消えてしまった。
「ばっかじゃねえの……」
何言ってんだ、犬より性質が悪いだろうが。肩を落とす。
「帰ろう作ちゃん、連れてって」
お前どうやってここまできたんだ、と問えば作ちゃんが泣いてる声がしたから、と俺の手を握る。作兵衛の声は聞こえるんだ。左門と同じことを、言う。
「泣いてねえ」
なんとかそれだけ返したけど、三之助は俺の後ろで笑ったようだった。
三之助の手を握ったまま、ぐいぐいと前へ進む。振り返るのは、やめた。


「あー、なんていうか、その、俺が悪かった」
首の後ろに手を当てて、足元から顔へ視線を向ける。
左門はきらきら光るまあるい目をこちらに向けて、僕もすまなかった、と謝った。きちんと誤解を解くべきだった。
そんな必要はないはずだ。左門は何も悪くないはずで、俺が一方的に殴っただけで。
「僕は富松作兵衛を本気で愛している」
左門の頬には数馬印の湿布が貼られていて、全くしまらなかった。
真っ直ぐなそれに耐えかねて視線をそらせば、腕の包帯が既にずれていた。動いたのだろう。直してやるよ、と手を伸ばす。
部屋の端には算盤が転がっているし、乱雑に敷かれた布団もある(しかも律儀に三人分だった)。
そんなところに意識が行って、気付いたときには、押し倒されて布団の上だった。


頭の両側に置かれた腕がまるで檻のようだ、とぼんやり思った。二人が持つ両の腕だけの檻。なんて甘い。
閉じ込めてくれれば良いのに。
そんなことをぼんやり思って、ばかばかしいと自分を一蹴した。ばかばかしい。それが何になる。少なくとも、俺の執着はこいつらの為になるまい。
「さくちゃん、きれい」
三之助が俺の髪を梳きながらいつも通りへにゃりと笑った。額に口づける感覚、唇の音がちっと響く。
「散々人の髪やら服やら乱しやがって、何がきれいだ」
「何って、さくちゃんが」
話しにならない。左門はからからと笑う。何を今更、なんて、俺ばかりが恥ずかしい。
「布団を敷いておいてよかった」
「左門ってば用意周到ね?」
「うん、本当は一人寂しく不貞寝する予定だったんだが」
静脈、喉仏、鎖骨。順番に左門の指が這う。俺とほとんど変わらない、むしろ小さいかもしれない、指。
「ひっ」
「さくちゃん」
三之助の舌が耳に触れた。おれのなまえ。名前くらい、ちゃんと呼べ。ばかさんのすけ。
ああ、でも、それよりもあついな。
「来いよ」
好きなら、好きって伝えてみろよ。


富松と迷子と甘い檻


小さな手が乱れた袴の隙間から作兵衛のものを握り込む。
すでに緩く勃ちあがったそれは掌の温かさとその感触に動き、微かに先端を震わせた。上下に擦られれば、漏らされた声と共に熱が沸き腰が勝手に持ち上がる。左門の指が激しく中を掻き乱す。
「あ……や、あああっ」
「……作ちゃん」
名前と一緒に熱い息を吐き出して、三之助は作兵衛の性器に指を絡めた。
「……ひ、やめ……!」
前と後ろでいっぺんに、ぐちぐちと卑猥な音が立つ。意識を飛ばしそうな強い刺激と相成って、作兵衛の熱を煽った。
二人に挟まれて、泣きながら涎を垂らす作兵衛にくらくらする。三之助はそっと後口へと指を這わせた。
勿論そこには、左門の指があった。左門はそっと作兵衛の耳を食む。
「作兵衛、ほら」
器用なことに片手で三之助のものを取り出した作兵衛が、自ら脚を開いて三之助に跨る。自ら先を宛がって、腰を沈めた。
「……ふ、あ、」
前後に身体を揺らめかしながら、三之助を飲み込んで行く最中。彼が一瞬だけ後ろの左門に意識をやったのを、三之助は声を押し殺しながら見ていた。気になるらしい、って、それはそうか。
「さーくちゃん」
三之助は作兵衛の腰を掴み、そのまま一気に落とさせた。
「……ああっ!?」
ずん、と不意を突かれた作兵衛は、腰を押さえつけられたままぶるぶると震えて、三之助の腹に白濁を散らせた。
「あっ、う……」
三之助の腹を汚す白色。作兵衛は申し訳なさそうに目を伏せて、ぐすと鼻を啜った。
左門は首を伸ばして、戸惑いを見せる作兵衛に口付けた。口内に舌を差し込んで、作兵衛のそれと絡める。作兵衛は、戸惑いに見開いていた目をそっと閉じた。
目の前で交わされる深い口吸い。目が離せなかった。水音が耳に届き、自分を咥え込んだ作兵衛の中が、漏れる喘ぎ声に合わせてきゅうきゅうと律動する。動いてないのに与えられる刺激。
作兵衛は圧迫感に、三之助は裏筋を擦られた感覚にそれぞれ身体を震わせた。左門は、二人の短い悲鳴にも一向に構わず、ぎゅっと閉じようとする口を、差し込んだ指で無理やり広げる。
作兵衛は首を横に振って、無理だと訴える。左門は楽しげに笑うばかりだった。
「いれるな」
「あ……ひゃ、あ!」
「……っ」
左門が腰を進める。広がった後口は、食い千切らんとするほどに二人のものを締め付けた。
「あ、は……し、にそうだ……」
衝撃に胸を反らした作兵衛は、震えながら左門の肩に頭を落とした。全身をひくひくと痙攣させている。
「きもちいい?」
左門の腕が、作兵衛を抱えこむよう腰に回った。小柄な左門は作兵衛のうなじに鼻を擦り付ける。後ろから甘えられているような仕草に、作兵衛は泣きそうになった。僅かばかり残った羞恥と、身体の痛みと、感情が体の中でいっしょくたになって、自分で自分が分からない。どうして泣いているのかさえ分からないままだ。
「逃がすなよ」
「逃がせないよ」
俺の答えと同時に、左門の手が、兵衛の腹をそっと撫ぜる。今度はしっかりと、腰を掴んだ。
「さくべ」
だいすきだぞ、と噛み締めるように左門は囁いた。
「……あああ!」
目一杯と広がった後口をきゅっと締め付けられる。左門の熱が絡みつく肉を分け入って奥を突く。衝撃に耐えきれなかったのか、作兵衛はずるりと左門にしなだれかかった。
「作ちゃん」
ゆっくりと名前を呼ぶと、作兵衛だばか、と彼は三之助に笑う。
「さんのすけ」
名前を呼ばれるだけでぞくぞくする。
脚を広げると「いやだ」と小さく作兵衛は震える。身体に手をついていっそう背を仰け反らせた。無防備な背中に、左門が唇を落とす。その度に作兵衛の肩が震えた。
「嫌じゃないでしょ?」
好きだよ。作兵衛、俺たち、ちゃんと作兵衛のことが大好きなんだよ。信じてくれる?
「ばか」
否応無く昇りつめて行く快楽があった。作兵衛の限界を感じる。もちろん、自分も。
再び、前と後ろとを同時に刺激されると、作兵衛は殆ど悲鳴に近い嬌声を上げ、果てた。
作兵衛の身体はゆっくりと痙攣していて、ああいやらしい、と三之助は思った。


「左門さもん、起きてる?」
闇の中に囁く。灯りは全て消してしまったし、作兵衛は疲れて寝てしまっている。
風呂に入りに行くか、と声をかけてみたものの返事はなかった。勝手に出て行ったら怒られるに決まっているので(とはいえ風呂場が動くのだから仕方がない)、早朝を目指したいところだ。
「おお、三之助もか」
左門の声は明るかった。ああ良かった、元気そうだ。
「不安はなくなった?」
「うん。作兵衛をたくさん愛さなくては」
全くだねえ、と返事をしたところで三之助の意識は途切れた。
明日もいっぱい愛さなくちゃね。



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2013/07/07 23:30 | RKRN(企画)

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