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2024/07/01 18:44 |
2013年上半期ログまとめ
長いです。凄く長いです。


ついったーでの小噺なので、ほとんどが140字。イベントネタ・逆転・年齢操作・現パロ混ざっています。
鉢屋中心にCPごった、地雷のある方はご注意ください。

【以下、一覧】
CPなし(四い、五い、六ろ、六は)
庄鉢庄(庄鉢・鉢庄)
雷鉢雷(雷鉢・鉢雷)
尾鉢、鉢尾、久々鉢、鉢くく、竹鉢
シナ鉢、綾鉢、文鉢、七鉢、タカ鉢、鉢鉢、利鉢
彦勘、綾勘
くくタカ
金こへ、鉢こへ(七鉢こへ)、勘こへ
伊雷
富池、乱伏、ふぉろわさん×鉢、重舳、与四文、左富、竹綾、きり乱、庄彦、次富、数次、次孫、雑伊(雑伊雑)、食満竹、雷くく、まごつぎ


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2013年上半期 CP別まとめ

【四い】お前という奴は、と滝夜叉丸は僕を前にして困った顔をした。「なに」「喜八郎お前、同級生を罠に掛けただろう」ああと声を出せば眉尻を下げる。「いけなかった?」「……嫌われるぞ」「滝ほどじゃあない」「失礼な奴だあいつらは私の美しさに云々かんぬん」滝に嫌われなきゃ、僕はそれでいい。



【五い】素直に信じればいいものを、生半可に頭が良いばっかりに、考えてしまう。真意はなに。俺はお前を信じても良いの。だけど信じてみたいと思う俺の、君の為なら死ねるという愚かさを、傲慢さを、許してください。隣に居させてください。あのね、兵助、俺はお前が大好きだよ!



【六ろ】好かれたいと思うより、好きになること。好きになって初めて、相手から好かれるんだ。人に対しても、物に対しても同じ。とにかく好きになることが大事。私はそれを五年前に同室から習って、今でもそう信じている。「ちょーじ、今年も宜しくな!」ああ、と返される声に安堵する。一緒に居よう。



【六は】伊作は今日も穴に落ちていた。割りと深く掘られた穴から持ち上げながら怪我はないかと問う。綾部の奴め。ないよ、と伊作は泥を落として笑った。「僕が不運だけど不幸じゃないのはきっと留三郎のお蔭なんだろうなぁ」「……おお!同室だからな!」今日も色々と、卑怯だ。



【庄鉢庄】こんな痛みは知らないままでいたかった。僕の痛みなんてあの人の耐えている傷に比べれば何でもないはずで、痛がる自分の身体が疎ましかった。先輩が好きです、大好きです。伝えられない感情が燻る胸はやっぱり痛くて、僕は唇を噛む。きっと、伝えたところでまだ信じては下さらない。絶対に。

【庄鉢庄】嫌い、と言われたらそれを信じてしまうのに、大好きは信じられない。大好きの方が、信じて受け入れるのにずっと勇気の要る感情だから、きっとこれは間違いじゃない。好きな人であれば尚更。貴方も僕と同じだって、そう信じても良いでしょうか。自分の気持ちより、貴方の好きを信じていたい。

【鉢庄】明けましておめでとうございます、と庄左ヱ門が言った。頬が赤く、吐き出される息は白い。おめでとう、と返して額に口を寄せる。可愛らしいことに後輩はさっと耳まで赤くなった。「鉢屋先輩!」「ごめんごめん、葉蜜柑をあげるから」口にするのは、まだ先だな。

【庄鉢庄】愛しています、と、愛してください。人間の伝えたいことって大体の場合この二つだけだよ。鉢屋先輩はしたり顔でそう紡ぐと、自分を見つめる僕を見て少し笑った。まだちょっと難しい?僕はえへん、と胸を張る。何を仰いますやら、参考までに伺いますが、先輩が僕に伝えたいのはどちらですか?

【庄鉢庄】泣いて、くださいますか。僕が死んだら、と続けられた言葉は随分と物騒で、ああ戦場見学で何かあったのかな、と察した。仲間が死に、それを嘆いている暇が戦場にはない。この御時世と言ったが正しいか、とかく武士にはそうだ。皆泣くよ、と応えた。貴方は、と賢いこの子は言い募らなかった。

【庄鉢庄】貴方の言う「いい子にしておくんだよ」 という言葉が嫌いだった。ひとりぼっちに慣れてしまうくらいなら悪い子になりたかった。それでもいい子にしていた駄目な子だった。いまでも駄目な子のままだ。

【庄鉢庄】あの人は生きるのが下手な人なんだ、と庄左ヱ門は言った。「だから、好きでいようって決めた」「どんな姿かわからなくても?」「どんなに不確かでも。決めたからいいんだ」「そういうものかな」「うん。好きになるって、そういうことだと思う」金吾もきっと、好きな人を見つけたら分かるよ。

【庄鉢庄】お返しです。はっきりした発音で丁寧に包まれた和菓子が差し出された。「えっ」「先月、頂きましたから」私は、今日も渡す予定だった。綺麗に仕上げた蒸かし芋の、飾り付けが凝りすぎていて恥ずかしい。「あの、ちょっと凝りすぎてしまって」「綺麗です。ありがとうございます」君はずるい!

【庄鉢庄】背伸びをしたら、届くんですか。庄左ヱ門はそう言って笑った。届かないでしょう、ちゃんと分かっています。だから駄目なんです。僕ではまだ、駄目です。泣きそうな顔をして笑うから、私は何も言えなかった。「いつかの約束は、させてくださいね」「もちろん」だからお願い、捕まえてみせて。

【庄鉢】「鉢屋先輩は、僕に本当のことなんて仰らないでしょうに」委員会の後輩はそう言って楽しそうに笑った。「今更だね、庄左ヱ門」そうだよ、だって、私は嘘吐きだ。本当のことなんて一つも言えない。全部嘘にしていいから、だから、どうかたまに混ぜ込んだ本音には気付かないでいて。

【庄鉢庄】あの人と代われたらいいのに、なんて馬鹿なことは言わない。貴方はどうか笑っていてください。あの人と先輩を引き離して、先輩の心が寂しくて捻じ切れてしまうくらいなら、僕はそんなこと望まない。大きくなった僕が不破先輩まるごと大好きになれたらなあって思うんです。まだ内緒ですけど。

【庄鉢】だって好きなんですもの。と、可愛い後輩はこちらを見上げた。「一緒に居たいだけですよ、他に理由が要りますか」要らないよ、と即答出来たら良かった。年や経験を重ねた分私は君よりうんと臆病で、不器用で、うまく気持ちを伝えることができなくなってしまっていた。「そうだと、いいな」



【雷鉢】私は傷を持っている。誰にも見せない傷だが、そこから君の優しさがしみてくる。その度に泣きそうになりながら、ああ君には適わないなあ、といつも思う。この傷を抉ってみせたって構わないんだよ。私は、君になら。そうじゃないよ馬鹿だな、なんて諫められるだろうか。

【雷鉢】「僕はお前が好きで、大事にしたいよ。だから、自分を大事にできない三郎はお仕置きします」そんなことを言われようとも、これまでの四年間で染み付いたやり方を変えられようはずも無い。実習で雷蔵を庇おうとした私はお仕置きが決定した。「ら、雷蔵さん?」「手始めに、お尻百叩きからね?」

【百合雷鉢】うわやめて入らないで雷子、全部の静止を振り切って不破雷子は私の試着室への進入を果たした。Aカップで彼女の隣に立つ肩身の狭さ。「やっぱり胸の形が綺麗だから似合うねえ!」そうじゃない。「この際お揃いにしよう!」「えっちょっ」こんなときに限って迷いもしない!

【双忍】君の世界を俺だけにして。馬鹿なことを言う奴だなあと思った。何でそんなに自信がないのだか、そもそも嫌いだったら自分と同じ顔をしているのを許したりしない。僕の世界はお前でいっぱいだよ。「ばか」たったその一言だけ、言葉にしたら三郎は泣きだしそうな顔をした。「そのまま返すよ三郎」

【雷鉢】誰かを好きでいるのは焼き立てのホットケーキにメイプルとマーガリンを塗るのと同じ幸せな気持ち。カロリーを考えないで良いからもっと健康的かも。真面目な顔で雷蔵は頷く。三郎はホットケーキのメイプルよりずっとずっと甘いんだけど、ね!ち、と瞼の上でリップ音が響いた。全く君ときたら!

【双忍】雷蔵はいいかい、と私の前で指を立てた。お前の持ってる悲しみや苦しみは溜め込んでも美味しくないし、冬を越すには辛いからドングリとかにしときなさい。「ぶはっ」一通り笑ってさすが雷蔵男らしい!と褒め称える。「もーお前はすぐ笑う」「さすが私の好きな君だ!」

【双忍】僕はお前しか要らないよ、準備はいいかい?するりと伸ばされた腕が私の頭を捉えた。力強い腕だ。いつもあれだけ迷うというのに、迷いが全く無い。すき?きらい?僕は好き。大好き。涙の膜で覆われた雷蔵の眼が静かに光る。(ああ、まずいな、これは)どうやら、今日という今日は逃げられない。

【雷鉢】好きだと言って。そしたらもう何も要らないから。何度繰り返せば嘘じゃなくなるんだろう。信じられるんだろう。小さく祈れば、雷蔵は声を上げて笑った。馬鹿だねえ、三郎。何度だって言ってあげるよ。嘘じゃないよ。(だから僕のことを嫌わないで、どうか、愛させてください)

【現パロ雷鉢雷】お前は言葉で伝えるのが下手だから、今、ここでキスしよう。僕もあまり上手じゃないから、それくらいがちょうど良いと思うんだ。今生は僕がお前を見つけられるように同じ顔で生まれてきてくれたんだから、僕もお前に応えなくちゃ。困った顔をして笑う。ねえ三郎、僕にお礼をさせてよ。

【雷鉢雷】好きなものや大切なものは自分で決められる。何が楽しくて何が嬉しいことなのか、自分で選べる。好きじゃないものの言葉や言動に、傷ついてやる必要はない。自分で自分を苛めちゃいけない。僕の好きな子を苛めないでよ、と雷蔵は笑った。僕はお前を大事にしたいよ。だって大好きだもの、と。

【双忍】しんしんと外の空気は冷たい。降り続けている雪の中ハチは雪だるま作りに勤しんでいるらしい。下級生の騒ぐ声が遠く聞こえる。三郎、雪が、と笑って雷蔵は私の頬の雪を払う。ありがとう、どういたしまして。触れられた頬が熱かった。ああそうか、きっとこれが君がくれる愛の温度、なんだろう。

【雷鉢雷】これからは自分のことを精一杯、大切にするって約束して、と。それは無理だ。雷蔵の言葉に、否と応えることはほとんどない。だけど、君の方が大切なのに、やっと見つけた誰より大切な人なのに、そんな真似は出来ない。お前が命を捨てるなら、僕も一緒だからね。その言葉が、決定打だった。

【雷←鉢】君が誰かを選んでくれたら、私はその答えを受け入れられるのに。私には君に選んでもらえるような要素は一つもないから、だからせめて、君が君を大切にしてくれる誰かを選べるように。君が傷付かないように。君が幸せでありますように、と。 ばか、と雷蔵が囁いた。僕はお前が良いんだから。

【雷鉢】君の優しい笑顔が好きだった。雷蔵の指が唇をなぞる。「はしたないね、三郎」はっきり発音される言葉がやたら気恥ずかしく、君の方こそ、とやっと返した。「僕は三郎に欲情してるんだもの」欲情って、その言葉はどうなんだい。「一緒にいやらしいことをしよう」ああ、その顔も、私は好きだな。

【雷鉢】君の心音に触れる。君の香りに触れる。君に触れたときに温もりを感じて、心に触れたいと願う。「あ、そんなこと言ったら、もう止まらないよ」雷蔵がくふりと笑った。「……望むところだよ、雷蔵」差し出された指を一舐めすればそのまま吐息が絡んだ。「それじゃ、まずは味見からね」

【双忍】雷蔵は悩んでいると何の音も聴かない。君はきっとどちらを選んでも後悔するだろう。でも、必ず、どちらを選んでも幸せになるよ。君の選択に間違いなどないから。許されるなら、私が傍にいて、君が選ぶまで君を守りたいな。いけないだろうか。勿論構わないさ、なんて、いつから聴いてたんだい!

【雷鉢】「君に幸せになって欲しい、なんて、そんな言葉は要らない。お前は幸せになる。僕が約束する。幸せにしてみせる」一気に畳み掛けられて、何も返せなかった。「返事は?」「よ、宜しくお願い、します……?」うん、と雷蔵はいつも通りぱあっと明るくなる笑顔で笑った。君が、私の幸せなんだよ。

【雷鉢】欲張ったらダメなんだ。私が欲張って雷蔵を独り占めにしてしまったらそれはもうろ組どころか学園全体の損失だし、何より皆に迷惑をかける。だから、だからね、君が私をぎゅっとしてくれたらそれだけで嬉しいな。それだけ何とか紡いだところで、私は布団に投げ出された。「遠慮しないで、ね?」

【雷鉢】初恋というのは知恵の輪みたいなものであるという。成程それは本当で、考えれば考えるほど分からない。私の初恋は雷蔵で、だから私が雷蔵のことを完全に理解出来ないのはおかしくないのだ。僕もそうだなあ、なんて君が笑うから、私は勘違いしてしまうじゃないか!

【雷鉢】「雷蔵、君の好きな御伽草子はあるかい。図書委員さんのオススメを聞きたいな」またかい、と雷蔵が笑う。ちょっと待って。君の前では沢山たくさん、好きを使う。あの味が好き、あの席が好き、この色が好き。本当は、好きのところだけ、君に向けて言ってる。内緒だけども、ね!

【現代転生雷鉢】この平和な現代、南蛮の言葉も多い。百年の恋も冷める、という言葉もあるらしい。「三郎、僕のこと、迷い癖があるけど嫌いにならない?」雷蔵は心配そうに私に笑う。嫌いな一面など。「まさか!」百年の恋だとかいうけれど、私のは百年どころじゃないんだな、これが!

【鉢雷鉢】懺悔するように頭を垂れて好きだ、と、彼は言った。「三郎が好きだよ。ごめんね」なぜ君が謝るんだ。分からない。分かりたくない。「雷蔵、私、君のことが好きで」そこまで言ったところで、目が覚めた。雷蔵の顔が、目の前にあった。「……きいてた?」「聞いちゃった」何だこれ恥ずかしい!

【雷鉢】「恋じゃないよ」雷蔵は言い切った。目の前の景色がぐらぐら揺れる。成程、君が私に伝えてくれたそれは、恋ではなかったのか。君の気持ちはどれも綺麗で私は勘違いしていた。「伝えるまでが恋で、伝えてからが愛でしょう?僕はそう思ってたんだけど。だから、僕のこの気持ちはきっと、愛だよ」

【鉢雷】「どうして笑うんだよ」雷蔵は頬を膨らませる。「君は嘘が下手だなあ」冗談にもならない嘘。「嘘は短いが良いよ、脚色の多い嘘は信用が下がる」本当に、短いほどよい。それだけで誰かを信じさせることができるならば。「不破雷蔵あるところ鉢屋三郎ありさ」「……それ、嘘にはさせないからな」

【雷鉢】私の好きな人はすぐ傍にいて、声を掛ければ振り返ってくれて、私が手を伸ばせば手を繋げる距離にいる。君は近くにいるけど、君は何故だか遠いよ。話していたい。傍にいたい。君を愛したいです。誰かを愛するってこんなに難しいものなんだろうか。私が下手くそなだけなんだろうか。ねえ、雷蔵。

【雷鉢】「私は君が居ないと生きられないと思っていた。今では、私を生かせるのは私自身だけだと知っている。でもね」三郎はそっと息を吐いた。「君が居てくれると心があったかくなるんだ。私は幸せに生きられるんだよ。君もそうであれば嬉しい」馬鹿だなあ三郎、そんなのは愚問だよ。

【雷鉢雷】三郎は、甘い。どういう甘いかと言えば(勿論三郎が僕を甘やかしたがるのはいつものことだけど)、物理的に、甘い。例えば重ねた唇が。舌を這わせた首筋が、あるいは噛んだ肩が。隣で眠る君の手を取り、そっと咥える。「……雷蔵?」声は耳で溶ける媚薬のようで。ほら、やっぱり、君は甘い。

【現代転生雷鉢】君は絶対、僕を好きになるよ。あまりにも彼が自信満々に言うので、私は笑ってしまった。そうだね、君が言うならそうなんだろう。そんなことは当然のことで、真理で、既に決まっていることだった。生まれる前からずっと。そうとも不破雷蔵、君が、そう望むなら。(君になれない私の話)

【雷鉢】
君が好きだよ、と言ってもなかなか信じてくれないので、口に出すのをやめようかとも思った。
三郎は用心深い。何も信じないくせに、愛して欲しいと願っている。
「三郎、好きだよ」
「……そうか。ありがとう」
だけど、想いを伝えたときの君の耳が、果実のように赤かったから。
(ああこれは確かに僕のものなのだ、と!)

【雷鉢】雨音がひどい。ざあざあと響く音は部屋の中にも満ちている。困ったことに書物も湿気ってしまって捲るのもままならない。様子を伺っていたらしい三郎は僕をみてくすりと笑った。「もう、僕は困ってるんだよ」「そうだろうとも。それでは、本の代わりに、私はいかが?」

【雷鉢】「好きって言うから。ちゃんと、好きって言うから」三郎はそっと息を吐いた。お腹が空いたときのような不思議な顔をしていた。長い睫毛に光がとまる。だからどうか、嫌いにならないで、と。ああそうか、こいつは今泣きたいんだ。泣く必要なんて、ないのにね。おかしな三郎!

【雷鉢】雷蔵の唇が私を食む。食堂で姿勢良く、礼儀正しくお箸を持って食事をするのと、同じように。涙で潤んだ瞳が私を映す。舌が口の端の唾液を舐め取った。彼の熱を感じながら、私は彼の首に腕を回した。「召し上がれ」いただきます、と雷蔵は礼儀正しく言った。「残さず食べてね」



【尾鉢】鉢屋、俺はお前が好きなんだよ。嘘じゃないよ。勘右衛門は分かり切ったことを言う。知ってる、と囁けばうん、と頷く。うん、ともう一度。私はきっと、お前が好きだよ。何より大事にしたいと思ってるよ。何を泣く。今だけはお前のものなのに。

【尾鉢】私の指に触れて、楽しそうに勘右衛門は笑う。「手入れが行き届いてるね。綺麗な指」「当然だろう」変装に使う道具や指に、私は誇りを持っている。「知ってる。えへへ……俺の鉢屋」ふざけるな、と言いたかったのにあんまり嬉しそうに笑うから言えなくなってしまった。

【尾鉢尾】馬鹿だなあ、と俺は溜め息を吐いた。鉢屋はこれっぽっちも分かっていない。俺がどんな気持ちで委員会の茶菓子をだしに街に行こうと誘ったのか。気付いたらいつもの五人全員で出かけることになっている。「何を膨れてるんだ、勘」「膨れてないもん!」「もんってお前」また誘うから、良いの!

【尾鉢尾←綾】全然関係のない僕に優しくたって、何にもなりませんよ。綾部は抑揚のない声で私に説いた。知ってるよ、だから何でも言えるんだろう。「性格が悪いと嫌われますから」「手厳しいな」本当は関係ないと言えないのも、知ってる。私たちは似たもの同士だと思うんだが、どうだろうね、綾部?

【尾鉢尾】触れてみればよかったのに。鉢屋は俺にそう嘯くと、唇の端を釣り上げてくつくつと笑った。鉢屋は、卑怯だ。そう言えば忍びは卑怯な生き物だろう、と返される。生き延びる為だよ。私はきっとお前に触れられたら死んでしまうから。それもまた一興だが、と笑って。そういうところが卑怯なんだ。



【鉢尾】大事にしたい、ずっと笑っていて欲しい。私にそれが出来るだろうか。「鉢屋、また何か難しいこと考えてるでしょ」応える前に勘右衛門は笑った。「鉢屋は一緒に居てくれるだけで良いの、俺が幸せにしてあげるからさ!」「……こっちの台詞だばか!」

【鉢尾】欲しいものが手に入らないことに慣れると、本当は自分が何が欲しかったのか、分からなくなる。鉢屋あのね、お前が好きだよ、大好きなんだよって、伝わらないけど一生懸命思っている。むしろ伝わらない方が良い。そう思ってたのに。勘右衛門、と名前を呼ぶ声があんまり優しくて。



【久々鉢】三郎、と名前を呼べば眉間に皺を寄せられた。「今度は何だ。新年豆腐の話はもう聴かないぞ」日頃の行いだと勘右衛門から笑われそうだ。「明けましておめでとう。今年も大好き」三郎は一瞬言葉に詰まって、顔を赤くして馬鹿と叫んだ。うん、三郎馬鹿の自覚は、あるよ。

【鉢くく】あの人を失望させたくないんだ、と。そう言われれば仕事の邪魔をするわけにもいかなくなった。私の先輩は六年ろ組のあの二人で、それなりに尊敬もしているが兵助ほどではない。立花先輩に対する兵助のそれは敬愛だ。「終わったら、構えよ」甘えただなあ、と笑う。「悪いか」否定はできない。



【竹鉢】三郎の匂いがする、と言えば兵助の顔をした三郎に嫌な顔をされた。雷蔵の顔へ。「何だよー」「人がどれだけ苦労して匂い消してると思ってんだお前は」そんなことを言われても、分かるものは分かる。「俺、三郎の匂い好きだぞ」「うるさい馬鹿、そういう問題じゃない!」



【シナ鉢】化粧道具を片付けていると、道具に影が落ちた。「せんせい?」山本先生は目を細めて笑った。私の変装の師であり、正体は誰も知らないひと。瞼に柔らかい感触と共にち、と音が響いた。「えっ、せっ」「これで動揺するようでは、まだまだね」にこ、と妖艶な笑みを一つ。ああもう!



【綾鉢】おやまあ、と綾部の声が響いた。「どうされました、それは僕の罠ですが」「……知ってるよ」静かな場所を探した結果が此処だったのだ。「ごゆっくりどーぞ」言葉と一緒にひょい、と綾部が降りてきた。「おい降りてくるな!」ぽん、と頭を撫でられる。全く油断ならない!



【文鉢】がたんと乱暴に戸が開けられた。優秀な後輩の表情は読めず、俯いたままで鉢屋は俺に近づいた。小さな、やっと聴き取れる声でせんぱい、と囁いた。もういやです。必死で泣いたのか?遠慮無く生きてみたのか?それでもダメだったなら構わない、俺の命もくれてやる。もういい。諦めても、良いよ。

【文鉢】好きなんです貴方のことが、と鉢屋は俺の腹の上で笑った。だから、いいでしょう?身体を押さえ込む腕が震えていた。良い訳がないだろう、ふざけたことを言うな。そう言いたかった。いつも悪戯をしては楽しそうに笑っている後輩が泣きそうな顔で、また笑った。だから、結局、何も言えなかった。

【文鉢文】柘榴のように割れたお前の心の傷を、分かったような振りをして分かったつもりになっている。全て理解は出来ないけど、分からないよりはいいだろう。鉢屋は泣き出しそうな顔をしたまま、俺の腕を掴んだ。泣き虫め、と揶揄すればまだ泣いてません、ときた。泣けと言ってるんだ、察せバカタレ。

【文鉢】鉢屋が面倒臭い後輩なのは、自分に自信が持てないからだ。自分の実力に見合うだけの自信を持てないから、先に進めない。その一歩が。ばかばかしい、と一蹴すれば困ったように笑った。「お前は今のままでも十分だ」「また、そうやって私を甘やかすんですから。潮江先輩は」



【七鉢】鉢屋は逃げるのがうまいなあ。平気な顔をして息一つ切らさない。全力の私に追い付いて壁際に追い込んでおいて、何を言うんだろうかこの人は。「私は、逃がしてあげられないけどね」熱い手が首の後ろに回って、固定される。もう動けない。「は、望むところ、ですよ、せんぱい」



【タカ鉢】王様ゲームなんて嫌いだ。誰だこんなことを言い出したのは、と思う。私だった。言わないでおこう。口吸いの命令がピンポイントで当たるなんて運がない。困った。年は一つ上、学年は一つ下の人。気付いたら背中が壁に押しつけられていた。逃げないで、という静かな声と一緒に、吐息が絡んだ。



【鉢鉢】忍者の三禁だと三郎が笑った。でも、お互いを甘く見合わないで、どうやってひとは愛しあえるだろう。許し合って、油断し合って、ほんのすこしばかり見下し合って、ひとは初めて愛し合えるんじゃないだろうか。少なくとも、私はそうだ。お前は器用なくせに生きるのが下手だから、どうだろうな。



【利鉢】君は、と口に出した言葉の響きは余りにも薄っぺらかった。「変装が上手だね。プロ忍だってそれだけ巧い人は少ない」少年は嬉しそうに笑う。好きな子に好かれたい、という浅はかな考え。気の効いたことも言えないし、そもそもあまり会えないし、私は一体君に何を伝えられるだろうか。

【利鉢】君は、と口に出した言葉の響きは余りにも薄っぺらかった。「変装が上手だね。プロ忍だってそれだけ巧い人は少ない」少年は嬉しそうに笑う。好きな子に好かれたい、という浅はかな考え。気の効いたことも言えないし、そもそもあまり会えないし、私は一体君に何を伝えられるだろうか。



【彦勘】先輩の、嘘つき。そうとも、俺は嘘つきなんだ。そんなことも知らないで一丁前に好きだなんて俺相手に言っていたのかい。彦四郎は静かに泣いていた。やめてしまえ、こんな嘘つきを好きでいる恋なんて。「……貴方が嘘つきだって、人殺しだって、僕は嫌いになりません」



【綾勘】寂しさを抱きしめたら、強さになりました。悲しみを暖めたら、優しさになりました。何度も転んでは立ち上がり 、一人ではないことに気が付きました。要らないものを穴に埋めようとする僕に、勿体無いから俺に頂戴、と笑って。そう、だから、僕の気持ちは全部、ぜんぶ、貴方がくれたのです。

【現パロ綾勘】先輩せんぱい、バレンタインですよ、と喜八郎が言った。「知ってるよ」「チョコ好きですか」そこはチョコください、じゃないのか。「好きだよ」「僕のことは?」「……好きですけど?」「知ってます」……あーもう、はっきりチョコください好きなんですって言えよ!

【綾勘】もしも今、世界がズレて、その隙間にあの人が落ちてしまったら困る。あの人が落ちるのは僕の罠でなくては困るのだ。丹念に仕掛けて、絶対に逃がさない。だから、今のうちにしっかり捕まえておかなくては。逃げるのが上手な人だから、僕に油断しているうちに。喜八郎、と笑ってくれる間に。

【綾勘】貴方の願いが粉々になって砕け散りますように。きらきら輝く星屑になって、祈りになりますように。僕がきっと先に酷い無茶をして死にます。僕が死んだら穴を掘って、埋めてください。そうして天から落ちてくる星の欠片を墓標にして傍で待っていてください。逢いに来ますから。(綾勘で夢十夜)

【綾勘】僕が最期に見たのは、聴いたのは、呼んだのは、触れたのは、全部ぜんぶ貴方だったから。これはもしかしたら幸せなことかもしれないなあって、想ったんです。独りよがりですけど。だから、謝るようなことなんてひとつもないんですよ、尾浜先輩。最期の最期にお名前をお呼びして、ごめんなさい。

【綾勘】記憶をなくしました。どうやら僕は穴を掘るのが得意だそうで、やたら心配する同室は僕にしきりに大丈夫かと問い質しました。何と言うことはない、生活するには困らないんだと答えながら、僕は大好きな人の瞳を探していました。あの人はどこだろう。他は何も要らないのに。



【くくタカ】分かっていた。斉藤の方が、俺より背が高いのである。当然だが脚も長い。体力は、さすがに俺のがあると思うけど。街に出れば俺の持っている知識やら技術なんてものは役に立たないわけで。「兵助くん」ぎゅ、と手を握られた。これで満足するなんて、俺も大概絆されている!

【くくタカと四年】先輩からすれば好きだけじゃだめなのでしょうけど、好きじゃなかったら、何も乗り越えられないでしょう?だから、あの人と出会ったこと後悔しないでください。俺の好きな人の同級生たちはそう言って笑った。タカ丸さんを幸せにしないと承知しませんからね!



【金こへ】此処にいて下さい、と後輩は囁いた。手足がもう、思うように動かないのだ。七松先輩、と金吾は笑った。小さくて柔らかかった手のひらは硬く、剣胼胝より苦無胼胝が目立っていた。お前の夢を、目標を、断ち切ったのは私だろうか。そうだったら良いのに。「殺させやしませんから」貴方だけは。

【金こへ】金吾は相変わらず泣き虫だなあ。そう言って七松先輩は笑った。誰のせいだと思ってるんですか。全部貴方のせいですよ。温かい手のひらが頬に触れて、僕の涙を乱暴に拭った。男前が台無しだ、と楽しそうに言って、ありがとうと囁いた。私を諦めないでくれてありがとう。ずっと待っていたんだ。

【金こへ】誰かを好きになるということは、寂しさや弱さの誤魔化しでしかないと思う。僕はずっとそう思っていた。でも、誤魔化すのをやめてしまったら、寂しさばかりの人生だ。人は皆いつかは死ぬのだから、誤魔化しながらでも満たされていたい。大好きな貴方が寂しくないように、僕が満たしていたい。

【金こへ】七松先輩。名前を呼ぶことすら、許されるなんて思っていない。それでも、七松先輩が煩いぞ金吾、私をよくも騙したな、と怒りで良い、そう言ってくださったら。僕の頬に先輩の手があてられた。良くやった、と。先輩はやっと聴き取れる掠れた声でそう言って、僕に笑った。



【鉢こへ】先輩はよく笑う人だった。本心にしろ誤魔化しにしろよく笑った。私はそんな先輩を見ていた。笑う姿を見ると幸せだった。ただ、それを言葉にすると、色褪せてしまいそうで。何も言えはしなかった。ただ笑って鉢屋、と名前を呼んでくださったから、それだけで十分だった。

【鉢こへ】貴方の為にと紡いだ言葉が、触れたら影に変わってしまった。詰まるところ、それらは全部私の為の言葉だった。七松先輩、と呼び掛けて、何も言えなくなってしまった。嘘は得意だ。でも本当に、口先だけだ。「鉢屋?」それでも、貴方が笑ってくれるなら、私はそれでいい。

【鉢こへ】嘘つきには、嘘つきが分かる。それだけのことだ。たった、それだけの。「七松先輩の、全てを。解いてみたいと思うんです」「私はそんなの求めてない。勝手なことをするな」お願いだから、理解するな。鉢屋は眩しそうにこちらを見て笑った。「貴方はそう言うと思いました。でも、やめません」

【鉢こへ】今世は気付くのが遅すぎたんだよ。きっとまた来世。そう言ったときのあの人の目をみたら、誰にだってわかると思う。信じなくちゃいけないということが。たとえそれが叶えられない約束でも、私は生涯あの人を疑ったりしないだろう。だって、散々人を脅かしておいて、笑って生き残る人だから。

【鉢こへ】貴方に言いたいことなんてほとんどありませんが、貴方の知りたいところなら山程あります。何を考えていますか。どうしてそうやって理解されるのを嫌がるんですか。今すぐに応えてくださらなくても良いんです、きらきら光る貴方が、私の瞼の裏に焼き付きますように。

【鉢こへ】守りたいんじゃなくて、そんなのは嘘で、本当は壊したいんじゃないかって。そんなことを考える自分が、嫌です。一気に吐き出してしまえば思いの外あっさりと言えた。本人に言うようなことではないのだけど、七松先輩はそうか、と頷いてころころと笑った。私は簡単に壊れないから、大丈夫だ!

【鉢こへ】好きだから食べたいの。いけない?そう言って、私の指を甘噛みした七松先輩は首を傾げた。いけなくはありませんとも。むしろ光栄ですとも。そう言いたかったが、残念ながら、私は不意打ちに耐性がなかった。冗談を返すような余裕も皆無だった。選択肢は、逃げること。「な、んだ、あのひと」

【七鉢こへ】なるほど、どんな悲劇もいつかは終わるのだ。七松先輩はころころと鈴を鳴らすような声でねえ鉢屋、これがきっと最期だよ、と言った。貴方が苦しむのも、悲しむのも、夢だからです。夢なんですよ。だからそんなに苦しむ必要なんてない。笑って、と、頼まれているのに私は巧く笑えなかった。



【勘こへ】七松先輩はいつも通りの声で尾浜、離せ、と言った。「あまりくっつくな、邪魔だぞ。早く何処かに行ってしまえ」「やーです」「どうして」先輩が傷付いてるときくらい、俺が傍に居たっていいと思うので。俺、空気読めないんで離しません。(だって貴方、どうせ独りぼっちで泣くんでしょう?)



【伊雷】お前が人じゃなかったら愛してあげるのに。薄っぺらい笑顔に虫唾が走る。片腹痛いですね、と笑い返せばもっと喜んでも良いんじゃないの、と。僕の気持ちはこの人がこの人である限り変わるまい、なんて欲しくもない確信を得た。「一丁前に人間みたいなことを言わないでくださいよ、人でなし」

【伊雷】文句の一つでも言ってやろうと口を開いた。動かしたはずの喉から出した声が、声にならずにぜろぜろという音になって飛び起きた。誰の所為かなんて考えなくても分かる。大体人間の喉は一晩中使うものじゃないのだ。隣で何度寝だか知らないが眠りこけている男を全力で蹴ってやった。起きろばか!

【伊雷】今から嘘を吐きます、と。後輩はにこりと笑った。曖昧なものはいらないから確かなものが欲しい。ひとりの時間はいらないから二人で生きる時間が欲しい。駆け引きはいらないから優しい声が欲しい。他に何にもいらないから傍にいて欲しい。貴方が居るという確証が、欲しい。さあ、本当は、どれ?

【伊雷】「寂しいくせに」「貴方が僕に構ってるんでしょうが」「ひどいなあ。痛いの好きだろう?」そんな趣味はないです、と応えた。こんな人にいつまでも構っていたら三郎が泣いてしまう。あいつは殊僕に関してなりふり構わないところがあるから。ぐい、と腕を引かれた。(嘘つき、とその唇が言った)

【現パロ伊雷】ハッピーバレンタイン、と不釣り合いな言葉が落とされた。世間にチョコが溢れるこの日、風邪で寝込むのは己の恒例行事である。調子のいいときは日曜祝日だ、実に分かりやすい。だから聞いたこともない祝い句に目を丸くした。「昨日だったけど?」知ってますよ色男、と不破は鼻で嗤った。

【現パロ伊雷】昨日がバレンタインだったことくらい知っている。この人の机やらポストやら靴箱やらに詰まっていたチョコを捨てたのは僕だ。本命だろうピンクの包装紙が見えないよう念入りに裂いた。嫌がらせの為なのに何をしているんだと自分に腹が立った。貰ったチョコを渡してみる、これも嫌がらせ。

【伊雷】「いった……」書物で指を切った。委員会中の出来事、最たる誤算は保健委員長が後ろにいたことに気付かなかったことだ。「あーあ、何やってるの」厚い舌と温度が指の先を包んだ。「何を」本当は良くないんだけど、と続けられた言葉。紙の傷は深く、じんじんと疼く。いつまでも。



【富池】好きって言ったでしょう。覚えてないんですか。思い出せるだけ思い出していや言ってねえ、と言い返せば何だバレましたか意外と記憶力良いんですね、と。睨み付ける視線とは裏腹に後輩の耳は赤く、嗚呼こいつは今、俺に好きをくれたんだな、と気付いた。分かりにくいんだよ!

【富池】俺が話したい相手の心の扉は、時々閉まっているかもしれない。でも、鍵は掛かっていない。鍵を掛けられた心なんて、どこにもない。先輩がそう教えてくださったのを、俺は信じている。多分だけど。自信もないけど。でも、諦めたくないから。池田、と呼び掛けて嫌な顔をされるのもなれっこだ。



【乱伏】今、僕のこと好きだなって思ったくせに。そう言って、伏木蔵はころころと笑った。いけないの、と私が問えば乱太郎が良いなら構わないよ、と応える。僕のこと好きになって、死んじゃっても知らないから。助けないよ。でもその後は僕に頂戴ね。全く、その言葉はそのまま返してあげる。

【乱伏】乱太郎の調合した薬を少しばかりいじった。毒を薬に、薬を毒に、容易いことだ。一舐めして満足する。さすが僕!飲んだ皆の阿鼻叫喚を想像して今からわくわくする。と、ひんやりと冷たい乱太郎の手が僕の頬に触れた。「オイタはダメだよ、伏木蔵」ああもう、これだからやめられない!



【フォロワさん×鉢】華奢な少年の頭をくしゃくしゃと撫でれば照れたように唇を尖らせた。ドウモ、と呟いて。別に好きでやったわけじゃないですけど。ありがとう。私は君が笑っていてくれるだけで嬉しい。それだけで良い。今年も君が、沢山たくさん愛されますように。



【重舳】さすがに冬の海は身体に堪えた。それでも、珊瑚よりも美しい赤く美しい髪が視界を過って俺の前を進むから、俺は追いかけるしかない。ずっと、もうずっとだ。俺は馬鹿正直で、みよ兄以外考えられないから、あの人だけを追いかけようと思う。まあ、逃がす道理も、ないわけで。

【重舳】貴方は貴方自身のためと、貴方が死んだら泣いてくれる人のために生きている。その中に俺も入っていると良いなあと思ってるんです。でも貴方は俺の中の優先順位が、貴方が一番だって知らないでしょう。知らなくて良いよ。貴方が困るといけないから、バレないようにしなきゃ。



【与四文】年初めだというのに来訪者は(侵入者かもしれないが)、にこにこと機嫌良さ気に笑っている。へむへむの鐘が鳴った。「……おめでとさん」仙蔵の奴は新年の作法指導のため委員会の集まりらしい。「へへ、やった」あ?と聞き返せば「文次郎の一番!」と笑った。阿呆か!



【汝曲で左富】左門は高らかに宣言した。「作兵衛白、生徒判定だ!」お前が、仲間か。身体の芯が痺れて震えてしまいそうになる。俺は曲者だ。おそらく穴丑。俺はいずれお前を見捨てねばなるまい。「左門は俺検査か、ありがとな」必ず勝利を渡してやるから、先に天国で動かず待ってろ。

【左富】俺が、自分の気持ちを疑うのはまだマシだよ。いつものことだ。自分を疑うのはもう慣れた。でも、だからこそお前の気持ちは疑いたくない。お前が俺にくれる好きの分だけ、信じていたい。なあ左門、お前は俺に正しい気持ちを教えてくれる。だから安心だ。俺はお前が好きだよ。

【左富】僕は作兵衛の不安や悩み事を、綺麗さっぱり消すことは出来ない。だからせめて、別の何かで笑顔にしたいと思う。夕ご飯のおかずを半分こするだとか、一緒の布団で手を繋いで眠るだとか。そういう些細なことで良い。僕は作兵衛が大好きだけども、笑顔がいっとう大好きだからな!

【左富】作兵衛は命の使い方が上手なんだな。だからそんなに綺麗に笑うんだ。左門が俺を見てあまり嬉しそうに笑うから、つられて一緒に笑ってしまった。お前のがよっぽど綺麗に笑う。左門の笑顔は気持ちが周りに溢れるような笑顔だ。「俺はお前と過ごして命を使うときが一等好きだな」



【転生竹綾】忘れたからって、僕たちが出会って一緒に過ごした時間が消えるわけじゃない。そうでしょう竹谷先輩、と一つ下の後輩は俺を見上げる。初対面であった。応と頷けばそういうと思いました貴方はそういう人ですもの、と笑う。手始めに俺に教えてくれ。お前は誰で、何でそんなに泣いてるのかを。



【きり乱】そんな辛い状況を、自分一人で乗り越えようってのが甘いんだよ、きりちゃん。人がそんなに強い生き物だと思ってるの?諦めて自分の周りの人間にすがったらいい。お金を借りるより大きな借りを作ったらいい。借りを返すのに一生かかる?元々、一生付き合う予定じゃなかったの?



【庄彦】庄左ヱ門が咳をすると、喉からころころと金平糖が零れた。綺麗な色をしている。彦四郎はそっと指を伸ばして一つ摘んだ。苦しそうな同輩の背中をさすりながら、金平糖を握り締める。ああ熱い、きっとこれはこいつの命なんだろうなと、そう思った。僕が、助けてやらなくちゃ。

【現パロ庄彦】僕たちの遺伝子中の窒素も、歯の中のカルシウムも、血液の中の鉄も、かつて収縮した恒星の内部で作られた。この体は、全部星の物質でできている。僕たちは星の欠片なんだ。反応に困った。先輩方の薀蓄癖だろうか。ロマンチックなことを言ったのに、と庄左ヱ門が笑う。似合わないんだよ!



【次富】俺ねえ、作兵衛が好きだよ。すげー好き。突然何を言い出すかと思えば、いや何言ってんだお前は!左門が今日は次屋の日だな、と四徹目の潮江先輩に教えられたらしい。先輩の記憶にあるまい、とか、どこからツッコめばいいのか分からない。ごろごろと喉を鳴らす猫のように三之助が笑った。すき。



【数次】数馬、と名前を呼ぶ。なあに、と穴の中から声がして嬉しくなる。「数馬聞いて俺穴覗かなくても数馬が落ちてるって分かるようになった!」「嬉しいんだか違うんだか微妙な心境だけど引き上げてくれるかな三之助」そしたら泥だらけだけど凄いねって抱き締めてあげるからさ!

【数次】数馬、かずま、怪我してごめんね。視線だけで人を殺しそうな勢いで数馬は怒っている。俺が怪我をしたからだけど。大した怪我ではないので、宥めるように頭を撫でたらべしんと頭を叩かれた。痛い。「次無理したら許さないからね!」俺に一生懸命な数馬は、ちょっと可愛い。



【次孫】成る程これは毒であろう。孫兵、とへらへら笑いながら触れられれば僕はまともに動くこともかなわない。やっとのことでなに、と問えば呼んだだけ、と嬉しそうにまた笑う。情けない、毒虫の扱いは学園随一だと褒めて頂いたばかりなのに。三之助の毒は質が悪いね。(致死量の毒を僕に)



【雑→伊】雑渡さん、と己を呼ぶ声にくらくらする。ああ、どうか笑うなら笑え!私は恋の意味も分からないようなこの子に恋をしている。嫌いと愛しいの違いも曖昧な、自分に伝えられる愛ですらよく分からないこの子にだ!それでも笑ってくれさえすれば構わないと思うのだから、私も大概毒されている。

【雑伊雑】血の匂いがする。そう指摘するとごめんなさい、と少年は謝った。いつものように戦場に行ったのでないことがはっきりして、実習だろうかと見当をつける。この子も忍びのタマゴだ。おかしいことは何もない。雑渡さん泣いてるんですか、と低い声が囁いた。泣いてるわけないでしょ。お馬鹿さん。



【食満竹】強くなりたいって思うんです。困難や苦しいことに耐えられるような、そんな強い人に。でも人は、一人で頑張れるほど強くはないでしょう?だから、そのとき貴方が俺の隣にいてくれたら良いなと思いました。それと同じくらい、俺も貴方の隣にありたい。食満先輩、俺を貰ってくださいませんか。



【雷くく】 うまく言葉にできないまま瞳を見つめたら、繋いだ手をぎゅっと握ってくれた。好きです、貴方が大好きです。 御伽草子の一節を心の内で暗誦しながらどうか伝われと握り返す。「兵助は難しく考えすぎだと思うよ」「そんなことはない」難しくはある。現に今、お前が分からない。



【まごつぎ】傷付いたのは、生きたからだろ。三之助はそう言って僕が作ったお墓に手を合わせた。こんな山の奥にどうやって辿り着いたのとか、方向音痴とか、言いたいことは言えないまま飲み込んだ。その代わり、孫兵もそうだよ、と唱えられた言葉に涙が溢れた。どうしてこう、君ときたら!


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2013/06/30 00:00 | RKRN(月ろぐ)

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